かねだ流~老子講義~自然体の生き方

健康法(導引・呼吸法)と老子道の考え方をベースに自然体でラクな生き方指導をして40年。兼田流の独自の老子解説

老子39章 昔の一を得たる者 

道の大原則は「道は一を生じる。一は二生じる。二は三を生じる。三は万物を生じる。」である。この一を得たるもののみがその生存をまっとうできる。


道が生じた一を得たるものは、例えば、天は清浄になり、地は安寧になり、神々は霊妙になり、谷は豊かに充満する。そして万物は産み増やし生存できる。諸侯や王たちは天下の長ともなれる。

根本たるこの一の存在を忘れてしまい、二たる相対的な世界や三たる立体の世界に目を奪われているとおそらくは崩壊するであろう。

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天は清くなければ裂けるであろうし、大地は落ち着かせるものがなければ爆発したり、崩れるであろうし、神々は霊妙さを与えるものがなければその力は発散し尽きはててしまい、谷は満たしてくれるものがなければ干上がり枯れてしまうであろう。

 

私たち人間は、一たる命(宿命)存在を信じ、運命に従い、使命を果たすことが大切である。

自分の本性を知り、本来の自分をしっかりとつかみ、一たる絶対的な自分(例えば、私は人がいい、導引の先生として人助けのために人の良さを生かすのだ。私は美人だ、頭がいい、性格がいい等々なんでも結構です)に自信を持った生き方をすべきであり、それをしないと崩壊していくであろう。

 

例えば、私たちが二たる相対的な世界で、いつも他人との比較で自分の価値を決めていれば、優越感と劣等感との間で心身を疲労させていくことになる。

また、三たる神・気・精のエネルギーを、一を得ずに、正(一に止まる)しい使い方ができないで無目的で使えば、疲労し病を起こし自分の力を発揮することなく、一生を終わってしまう事になろう。

 

自分はこういう人間だ(宿命を知る)、自分の命をこのように運んでいくのだ(運命を知る)、そして自分の命をこのように使うのだ(使命を果たす)。

 

一たる命を大切にした者のみが自分の生命をまっとうでき、永遠の命を知ることができる。老子と導引に縁ある私たちは、それができる数少ない人間であろう。

 

老子 (中公文庫)

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